小津の戦前作を見ていると「昔はよかったな〜」なんて次元じゃなく、風景やら習慣やら言葉やらあまりの違いによその星の映画を見ているようだ。サイレントで字幕なので、役者が言葉を発しないのもそう感じる原因かも。街の風景も、戦後の作品ならこれが丸ノ内か〜とか、これが当時の五反田か〜とか面影を感じるんだけど。例えば戦前の代表作『生まれては見たけれど』は蒲田でロケされているらしいが、一面野原でまるで面影無し。僕らの世代だとさすがにこの時代のものは、もはや懐かしさとかではない。『プラネットアース』見ている感覚か。興味津々に歴史を見ているような感覚だ。ただ人々のハートフルさにはやはり懐かしさを感じるし、今を考えさせられるものがある。
それにしても、この頃の俳優陣はそうとうに魅力的だ。ということに気が付いた。特に女優がすごい。戦前の杉村春子とも言える飯田蝶子はとても味のある人。この人は小津だけじゃなくて当時いろんな映画に出てる。『朗らかに歩め』や『淑女と髭』で不良を演じる戦前のモダンガールと言えば伊達里子。DVD-BOX第4集は動くこの人が見たいが為に買ったようなもの。今の基準で言えば決してキレイでも可愛くもなく、場末のストリッパーみたいだが、なんともインパクトあっていい。上の2作品で伊達に対抗する純情少女を演じているのは川崎弘子。個人的には印象薄いんだけど、当時は週刊誌や映画雑誌を常に賑わせていたアイドルだったらしい。この人戦後の川島雄三の映画とかにもけっこう出てる。『美人哀愁』での井上雪子は、数年前『カナリア』という作品に60数年振りに映画出演して話題となったハーフ美女。『美人哀愁』は残念ながらフィルムが残っておらず、現在若き日の美しい彼女を見ることは出来ない。当時大人気で現在もファンサイトとかある桑野通子も『淑女は何を忘れたか』で溌剌としたキャラクターを演じている。この桑野通子や、岡田茉莉子の父である岡田時彦を見ていると、30代前半という若さで亡くなっているせいか非常に切なくなる。切ないと言えば『母を恋わずや』の吉川満子もそうとうに切ない。この人は演技派で、肩で演技してるすごい人。『非常線の女』では水久保澄子がインパクトある。ほとんど表情を変えずに感情を表現してる。ついつい大袈裟になりがちなサイレントなのに。これも小津の演出の腕か。この水久保は昭和7〜10年くらいの数年間しか役者活動をしていないので、動く彼女を見れるという点でこの映画は貴重。水久保はその後、自殺未遂や結婚詐欺など波乱の人生を歩み、戦争が始まると消息不明となる。詳しくは『映画論叢4号』特集「水久保澄子の悲劇」を読んでみましょう。充分今でも通用する可愛い人です。ちなみに『非常線の女』であばずれを演じる田中絹代は、キャラにそうとう無理があるが、これはこれで可愛くていい。

デビュー間もない桑野通子。彼女の娘は和製ヌーヴェルヴァーグで活躍した桑野みゆき。
それにしても、この頃の俳優陣はそうとうに魅力的だ。ということに気が付いた。特に女優がすごい。戦前の杉村春子とも言える飯田蝶子はとても味のある人。この人は小津だけじゃなくて当時いろんな映画に出てる。『朗らかに歩め』や『淑女と髭』で不良を演じる戦前のモダンガールと言えば伊達里子。DVD-BOX第4集は動くこの人が見たいが為に買ったようなもの。今の基準で言えば決してキレイでも可愛くもなく、場末のストリッパーみたいだが、なんともインパクトあっていい。上の2作品で伊達に対抗する純情少女を演じているのは川崎弘子。個人的には印象薄いんだけど、当時は週刊誌や映画雑誌を常に賑わせていたアイドルだったらしい。この人戦後の川島雄三の映画とかにもけっこう出てる。『美人哀愁』での井上雪子は、数年前『カナリア』という作品に60数年振りに映画出演して話題となったハーフ美女。『美人哀愁』は残念ながらフィルムが残っておらず、現在若き日の美しい彼女を見ることは出来ない。当時大人気で現在もファンサイトとかある桑野通子も『淑女は何を忘れたか』で溌剌としたキャラクターを演じている。この桑野通子や、岡田茉莉子の父である岡田時彦を見ていると、30代前半という若さで亡くなっているせいか非常に切なくなる。切ないと言えば『母を恋わずや』の吉川満子もそうとうに切ない。この人は演技派で、肩で演技してるすごい人。『非常線の女』では水久保澄子がインパクトある。ほとんど表情を変えずに感情を表現してる。ついつい大袈裟になりがちなサイレントなのに。これも小津の演出の腕か。この水久保は昭和7〜10年くらいの数年間しか役者活動をしていないので、動く彼女を見れるという点でこの映画は貴重。水久保はその後、自殺未遂や結婚詐欺など波乱の人生を歩み、戦争が始まると消息不明となる。詳しくは『映画論叢4号』特集「水久保澄子の悲劇」を読んでみましょう。充分今でも通用する可愛い人です。ちなみに『非常線の女』であばずれを演じる田中絹代は、キャラにそうとう無理があるが、これはこれで可愛くていい。

デビュー間もない桑野通子。彼女の娘は和製ヌーヴェルヴァーグで活躍した桑野みゆき。
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